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技術コラム

2025/05/28

初心者向け解説:いま話題の「能動的サイバー防御」とは?

はじめに

「能動的サイバー防御」という言葉を、最近ニュースなどで見かけた方も多いのではないでしょうか。 
2025年5月、能動的サイバー防御を導入するための関連法が成立しました。
可決されたのは、「サイバー対処能力強化法」(重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律)及び、「同整備法」(重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)です。
この新たな防御戦略は、サイバー攻撃が高度化・巧妙化する中で、“受け身から攻め”への転換を意味します。

私はこのニュースを見て「そもそも“能動的”って何?」「政府はどこまで踏み込むの?」「海外と比べてどう違うの?」といった疑問が浮かび、調べてみた内容をまとめました。

本記事では、同じような疑問を持った方に向けて、初心者にもわかりやすく解説します。

能動的サイバー防御とは?

サイバー攻撃の深刻化

🔍 約13秒に1回、日本ではサイバー攻撃が発生していると言われています。

なぜ今、法整備が必要か

従来の「受動的防御」との違い

受動的防御とは

サイバーセキュリティにおける受動的防御(Passive Defense)とは、ファイアウォールやアンチウイルスソフト、侵入検知システム(IDS)などを使って、サイバー攻撃が発生した際にその影響を最小限に抑えることを目的とした防御手法です。

受動的防御の特徴:

上記のとおり、従来の防御(ファイアウォールなど)では、攻撃”後”の対応が中心でした。

能動的サイバー防御は、

といった積極的な対応を行うことが特徴です。

特徴 受動的防御 能動的防御
タイミング 攻撃後に対応 攻撃前・進行中に対応
アプローチ 監視・遮断などの防御中心 攻撃元への対応(積極介入)
主体 各組織が個別に対応 政府が主体(官民連携)

新法による主な仕組み

1. 通信情報の利用(強化法)

2. アクセス・無害化措置(整備法)

3. 官民連携(強化法)

法律上の安全措置

海外との違い

通信情報の活用 アクセス・
無害化の制度
監視機関の有無
日本 メタデータに限定・
独立監視委員会の承認必須
令状・承認制
/限定的に実施可能
サイバー通信情報監理委員会
米国 FISA法に基づき広範囲に
取得可能
ボットネットへの
無害化措置事例あり
FISCなど
英国・豪州 傍受法(IPA, TOLA等)により
収集・利用が可能
国家安全目的で
実施可能
IPCO(英)
IGIS(豪)など

まとめ

今回の法整備により、日本でも攻撃の予兆を早期に察知し、実際の攻撃を未然に防ぐ枠組みが整いました。
これにより、国家レベルのサイバー攻撃に対しても、政府が迅速に動ける体制が構築され、国民の安心・安全を守るための一歩が踏み出されたと言えるのではないでしょうか。
透明性・信頼性・説明責任が伴ってはじめて、それは真に「安心」につながります。
ですので、これからも関連ニュースを確認してより理解を深めていきたいと思います。

🔐 セキュリティは技術だけでなく、社会との合意形成でもある。

参考リンク

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